家族信託とは?仕組み・費用と後悔しない始め方|認知症の財産凍結対策
相続の教科書 / 記事

家族信託とは?仕組み・費用と後悔しない始め方|認知症の財産凍結対策

「親が認知症になると預金が引き出せなくなる」「実家を売って施設費用に充てたいのに手続きができない」——そんな不安への対策として注目されているのが 家族信託 です。

結論から申し上げます。家族信託とは、自分の財産を信頼できる家族に託し、管理・運用・処分を任せる仕組み のことです。元気なうちに契約を結んでおけば、万一認知症になっても財産が「凍結」されず、家族が代わりに必要な手続きを進められます。

この記事では、親の相続や実家整理に直面しはじめた40〜60代の方に向けて、家族信託の定義・仕組み・メリットとデメリット・費用・始め方を、具体例とともにわかりやすく整理します。読み終えるころには「自分の家に家族信託が必要かどうか」を判断できる状態を目指します。

注意

家族信託は法律・税務・登記が複雑に絡む制度です。本記事は一般的な仕組みの解説であり、個別の判断は司法書士・税理士・弁護士などの専門家にご相談ください。税制や法律は改正されることがあるため、必ず最新の一次情報をご確認ください。

家族信託とは?まず結論(定義を先出し)

家族信託とは、財産の所有者が、信頼できる家族に財産の管理・運用・処分を託す契約 のことです。営利目的ではなく家族間で行うため「民事信託」とも呼ばれます。

仕組みの中心には、次の三者が登場します。

  • 委託者(いたくしゃ):財産を託す人。多くは親など財産の持ち主です。
  • 受託者(じゅたくしゃ):財産を託され、管理・運用・処分を行う人。多くは子です。
  • 受益者(じゅえきしゃ):財産から生じる利益(家賃・売却代金など)を受け取る人。

たとえば父親が委託者となり、長男を受託者、父親自身を受益者とする契約がよくある形です。この場合、財産の名義は長男に移りますが、その財産から得られる利益は引き続き父親のものになります。

ここがポイントですが、家族信託では 「財産を管理する権限」と「財産から利益を受ける権利」を分けられる のが大きな特徴です。名義を子に移しても、利益は親が受け取り続けられるため、贈与とは異なる扱いになります。

ポイント

家族信託の最大の目的は「親が認知症になっても財産が凍結されないようにすること」です。判断能力が低下する前に契約しておけば、子が親の代わりに預金管理や不動産売却を行えます。

なお、家族信託は2007年(平成19年)の信託法改正によって、一般の家庭でも利用しやすくなった比較的新しい制度です。銀行などが行う「商事信託」とは異なり、家族が無報酬または少額で受託者になれる点が、普及を後押ししているとされています。

家族信託の仕組みをもう少し詳しく

家族信託の仕組みは、「信託契約によって財産の名義を受託者に移し、その財産を契約で定めた目的のために管理する」 という流れで成り立っています。ここを理解すると、後述するメリット・デメリットの理由がすっきり見えてきます。

信託が始まると、対象となった財産は「信託財産」と呼ばれ、受託者の名義になります。ただし受託者は自由に使えるわけではなく、契約書(信託契約書)に書かれた目的・範囲の中でしか動けません。たとえば「自宅を売却して得たお金は父の介護費用に充てる」と定めれば、受託者はその目的のためにだけ財産を扱います。

重要なのが財産の「分別管理」です。受託者は自分の財産と信託財産を混ぜてはいけないため、預金については 信託口口座(しんたくぐちこうざ) という専用口座を開設して管理します。不動産であれば、法務局で「信託」を原因とする所有権移転登記を行い、登記簿に受託者の名前と信託の内容が記録されます。

仕組みを整理すると、次の3つの財産の流れがあります。

  1. 委託者 → 受託者:財産の名義(管理権限)が移る
  2. 受託者が管理・運用・処分:契約の目的に沿って動く
  3. 受益者が利益を受け取る:家賃収入や売却代金などを得る
補足

「名義が子に移る」と聞くと「贈与税がかかるのでは」と心配になりますが、委託者と受益者が同じ人(自益信託)であれば、その時点では贈与にあたらず、原則として贈与税はかからないとされています。実際の課税関係は財産の種類や契約内容で変わるため、税理士への確認が欠かせません。

また、受託者を監督する立場として「受益者代理人」や「信託監督人」を置くこともできます。受託者が一人だと管理が不透明になりやすいため、家族間のトラブルを防ぐ仕組みとしてあらかじめ設計しておくと安心です。受託者が亡くなった場合に備えて「第二受託者」を決めておく設計も実務ではよく行われます。

なぜ今、家族信託が重要なのか・背景

家族信託が注目される最大の理由は、高齢化にともなう「認知症による資産凍結」問題が深刻になっているため です。判断能力が低下すると、本人名義の財産は本人でも家族でも自由に動かせなくなります。

金融機関は、口座名義人の認知症が疑われると、本人保護のために預金の引き出しや定期預金の解約を制限することがあります。不動産も同様で、売買契約には本人の意思確認が必要なため、認知症が進むと売却できなくなります。これがいわゆる「資産凍結」です。実家を売って施設費用にあてたくても動かせない、という事態が現実に起きています。

厚生労働省の推計では、認知症の高齢者数は今後も増加する見通しが示されており、誰にとっても他人事ではなくなっています。「親はまだ元気だから」と先延ばしにしているうちに、対策できる時期を逃してしまうケースが少なくありません。

注意

家族信託は 本人に判断能力があるうちにしか契約できません。認知症が進んでからでは、原則として契約自体が無効になってしまいます。「元気なうちに準備する」ことが制度の前提である点に、十分ご注意ください。

もう一つの背景として、従来の「成年後見制度」の使いにくさがあります。成年後見制度も認知症の方の財産を守る制度ですが、次のような制約が指摘されています。

  • 家庭裁判所の関与が続き、財産の使い方に強い制限がかかる
  • 原則として本人が亡くなるまで続き、途中でやめにくい
  • 専門職後見人が選ばれると、毎月の報酬(月2〜6万円程度が目安とされます)が継続的に発生することがある
  • 資産の積極的な運用や生前贈与といった「家族のための柔軟な対応」は認められにくい

こうした制約を避けつつ、家族の意思で柔軟に財産を管理したいというニーズが、家族信託への関心を高めています。

成年後見制度は「本人の財産を守る」ことを最優先する制度であり、家族の都合での資産活用には向きません。一方、家族信託は契約で柔軟に設計できる点が異なります。どちらが適切かは家庭の事情によって変わります。

家族信託の種類・分類

家族信託は契約の設計しだいでさまざまな形を取れますが、目的別に分類すると 「管理型」「処分型」「承継型(受益者連続型)」 の3つに整理すると理解しやすくなります。

代表的な分類を表にまとめます。

種類主な目的向いているケース
管理型信託預貯金や賃貸物件を管理する親の生活費・家賃収入を子が管理したい
処分型信託自宅などを売却して費用にあてる将来、実家を売って施設費用にしたい
受益者連続型信託利益を受ける人を世代を超えて指定する自分の死後、配偶者→子と順に承継させたい
福祉型信託障害のある家族の生活を支える親亡き後、障害のある子の財産を守りたい

特に家族信託ならではといえるのが 受益者連続型信託 です。これは「最初は自分が利益を受け取り、自分が亡くなったら妻、妻が亡くなったら長男へ」というように、財産を受け取る人を何代にもわたって指定できる 仕組みです。

通常の遺言では「自分の財産を誰に遺すか」までしか指定できず、その先(二次相続以降)までは決められません。受益者連続型信託を使えば、「最終的に先祖代々の土地を長男の家系に残したい」といった希望にも対応しやすくなります。

補足

受益者連続型信託には期間の上限があります。信託法では、信託設定から30年経過後に新たに受益権を取得した受益者が亡くなるまで が効力の限界とされています。無期限に縛り続けられるわけではない点に注意が必要です。

また、信託は遺言・生前贈与・任意後見など他の制度と組み合わせて設計することもあります。たとえば「信託でカバーしきれない財産は遺言で補う」といった併用です。どの種類・組み合わせが最適かは、家族構成・財産の種類・目的によって大きく変わるため、専門家による設計が前提になります。

家族信託のメリットを詳しく

家族信託の最大のメリットは、認知症などで判断能力が低下しても、家族が財産管理を続けられること です。これにより「資産凍結」を避けられる点が、多くの家庭で選ばれる理由になっています。

主なメリットを整理します。

  1. 認知症による資産凍結を防げる:契約済みなら、親の判断能力が低下しても、子が預金管理・不動産売却・修繕などを進められます。
  2. 成年後見より柔軟に管理できる:裁判所の都度の許可を待たずに、契約の範囲内で機動的に動けます。賃貸物件の建て替えや組み替えといった積極的な対応もしやすくなります。
  3. 二次相続以降まで承継先を指定できる:受益者連続型を使えば、遺言ではできない「孫の代までの承継」を設計できます。
  4. 不動産の共有トラブルを回避しやすい:複数の相続人で不動産を共有すると、売却や管理に全員の同意が必要になり身動きが取れなくなりがちです。受託者を一人にまとめておけば、意思決定をスムーズにできます。
  5. 本人や家族の希望を反映しやすい:「自分が認知症になったら自宅を売って良い」「障害のある子の生活費を毎月渡してほしい」など、本人の想いを契約に落とし込めます。
ポイント

成年後見が「本人保護のための制度」であるのに対し、家族信託は 「家族の意思で柔軟に財産を活かすための制度」 です。この性格の違いが、そのまま家族信託のメリットにつながっています。

たとえば、賃貸アパートを所有する父親が認知症になった場合、成年後見では大規模修繕や建て替えの判断が難しくなることがあります。一方、家族信託であらかじめ受託者(子)に権限を与えておけば、空室対策やリフォームを適切なタイミングで実行でき、資産価値の維持につながります。

また、財産を「凍結」させないことは、家族の生活そのものを守ることにもつながります。親の施設費用を親自身の財産から支払えれば、子が立て替える必要がなくなり、家族の経済的・精神的負担を軽くできるのです。

家族信託のデメリット・注意点

一方で、家族信託には見過ごせないデメリットや注意点もあります。「節税のための制度ではない」「受託者の負担が重い」 という2点は、特に誤解されやすいポイントです。

注意すべき点を整理します。

  • 直接的な節税効果は基本的にない:家族信託は財産管理の仕組みであり、相続税が安くなる制度ではありません。「家族信託で必ず得する」といった説明には注意が必要です。
  • 損益通算ができない:信託した不動産から赤字が出ても、信託外の所得と損益通算できないとされています。複数の収益不動産を持つ場合は、税負担が想定外に増えることがあります。
  • 受託者の責任と負担が重い:受託者は分別管理・帳簿作成・報告などの義務を負います。家族とはいえ「ただ任せるだけ」では務まりません。
  • 専門家への費用がかかる:契約書作成や登記には費用が発生します(費用感は後述します)。
  • 長期間にわたって財産が拘束される:いったん信託すると、設計しだいで数十年単位で枠組みが続きます。柔軟に見えて、後から大きく変えにくい面もあります。
  • 対応できる専門家がまだ限られる:比較的新しい制度のため、実務に精通した専門家を見極める必要があります。
  • 遺留分への配慮が必要:信託の設計が、他の相続人の遺留分(最低限の取り分)を侵害するとトラブルの原因になります。
注意

「家族信託をすれば相続税が下がる」というのは 誤解 です。節税が目的なら、生前贈与や生命保険など別の手段との比較検討が必要です。家族信託はあくまで「認知症対策・財産管理・円滑な承継」のための制度だとご理解ください。

さらに、受託者となる子が委託者(親)より先に亡くなったり、健康を損ねたりするリスクも考えておく必要があります。第二受託者を定めていないと、信託の運営が止まってしまうおそれがあります。

家族間の信頼関係が前提の制度であるだけに、受託者にならなかった他の兄弟姉妹の理解 を得ておくことも欠かせません。「なぜ長男だけが財産を管理するのか」という不満が、後の相続争いの火種になることがあるためです。設計の段階で家族全員が納得しているかどうかが、成否を分けます。

具体例・ケースで理解する

家族信託は、具体的な家庭の事情に当てはめて考えると一気に理解が進みます。ここでは、相談現場でよくある3つのケースを紹介します。

ケース1:認知症に備えて実家を売れるようにしておきたい

80代の父・花子さん(仮)は一人暮らし。将来、施設に入ることになったら自宅を売って費用にあてたいと考えています。しかし認知症が進むと、本人でも家族でも自宅を売れなくなります。

そこで、母を委託者兼受益者、同居の長女を受託者とする家族信託を結びます。これにより、母の判断能力が低下しても、長女が必要なタイミングで自宅を売却し、その代金を母の施設費用にあてられます。「実家の塩漬け」を防げる 典型例です。

ケース2:障害のある子の「親亡き後」を守りたい

知的障害のある子を持つ親にとって、「自分が亡くなった後、この子の生活費を誰がどう管理するのか」は切実な悩みです。

この場合、親を委託者、信頼できる親族や別の子を受託者、障害のある子を受益者とする「福祉型信託」を設計します。親が亡くなった後も、受託者が信託財産から毎月一定額を渡す仕組みにすれば、子が浪費や詐欺の被害にあうリスクを抑えつつ、生活を継続的に支えられます

ポイント

「親亡き後問題」は家族信託が最も力を発揮する場面の一つです。遺言で財産を遺すだけでは、その後の「管理」までは指定できません。信託なら受け取り方まで設計できます。

ケース3:共有名義の不動産で兄弟が揉めないようにしたい

親が亡くなり、実家を兄弟3人で共有相続するケースです。共有不動産は、売却や賃貸に全員の同意が必要で、一人でも反対すると塩漬けになりがちです。

あらかじめ親が元気なうちに、長男を受託者、兄弟3人を受益者とする信託を組んでおけば、不動産の管理・売却の判断は受託者の長男に一本化されます。利益は3人で公平に分けつつ、意思決定の煩雑さだけを解消できます

これらはあくまで一般的な例であり、最適な設計は家庭ごとに異なります。同じ「実家対策」でも、家族構成や財産内容しだいで契約内容は大きく変わるため、実際には専門家との打ち合わせが不可欠です。

家族信託の始め方・使い方

家族信託を始める基本的な流れは、「目的の整理 → 家族会議 → 専門家相談 → 契約書作成(公正証書) → 名義変更・口座開設」 の5ステップです。順を追って見ていきましょう。

  1. 目的を整理する:何のために信託するのかを明確にします。「認知症対策」「実家売却の備え」「障害のある子の支援」など、目的によって設計が変わります。
  2. 家族会議を開く:受託者を誰にするか、他の家族はどう関わるかを話し合います。この段階で全員の納得を得ておくこと が、後のトラブル防止に直結します。
  3. 専門家に相談する:家族信託に詳しい司法書士・弁護士・税理士に相談し、契約内容を設計します。税務・登記・遺留分のチェックが欠かせません。
  4. 信託契約書を作成する:内容が固まったら契約書を作ります。公正証書 で作成するのが一般的で、公証役場で公証人が関与することで、契約の信頼性と証拠力が高まります。
  5. 財産の名義変更・口座開設をする:不動産は法務局で信託登記を行い、預金は金融機関で信託口口座を開設します。これで実際に信託が動き出します。

費用の目安も気になるところです。明確な決まりはありませんが、一般的には次のような費用が発生するとされています(あくまで目安であり、財産額や事務所により変動します)。

項目費用の目安
専門家へのコンサルティング・契約書作成報酬信託財産評価額の1%前後(最低30万円程度〜)
公正証書作成の公証人手数料数万円〜十数万円程度
不動産の信託登記費用(登録免許税+司法書士報酬)固定資産評価額の0.3〜0.4%+報酬
まとめ

家族信託は「思い立ってすぐ完成」するものではなく、目的整理から契約完了まで数週間〜数か月かかるのが一般的です。親が元気なうちに、早めに動き出すこと が何より大切です。

なお、信託口口座はすべての金融機関で開設できるわけではありません。対応している金融機関が限られるため、事前に確認しておく必要があります。専門家に相談する際は、口座開設に対応した金融機関の情報も合わせて確認すると安心です。

家族信託と似た用語との違い

家族信託を検討するうえで混乱しやすいのが、成年後見・任意後見・遺言・生前贈与との違い です。それぞれ目的と使える場面が異なるため、整理しておきましょう。

制度主な目的効力が生じる時期財産処分の柔軟性
家族信託財産管理・承継契約時から高い(契約で設計)
法定後見本人の財産保護判断能力低下後低い(裁判所の監督)
任意後見本人が選んだ人による保護判断能力低下後中程度(後見監督人が関与)
遺言死後の財産の分け方の指定本人の死亡後死後のみ・一次相続まで
生前贈与生前の財産移転贈与時から高い(ただし贈与税に注意)

ポイントを補足します。

  • 成年後見との違い:後見制度は「本人保護」が目的で、判断能力が低下してから使う事後的な制度です。家族信託は「元気なうちに」備える事前的な制度で、より柔軟に設計できます。
  • 任意後見との違い:任意後見は身上監護(医療・介護契約など)もカバーできますが、財産の積極的な活用は苦手です。家族信託は財産管理に強い一方、身上監護は対象外です。このため 両者を併用する 設計もよく行われます。
  • 遺言との違い:遺言は死後の財産分けを決めるもので、生前の管理や二次相続までの指定はできません。家族信託は生前から効力を持ち、承継先も複数世代にわたって指定できます。
  • 生前贈与との違い:生前贈与は財産そのものを完全に渡すため、贈与税の負担や「渡したら戻せない」リスクがあります。家族信託は名義を移しても利益は本人に残せる点が異なります。
補足

家族信託は万能ではなく、身上監護(介護・医療の契約)はカバーできません。この部分は任意後見が担うため、「財産管理は家族信託、身上監護は任意後見」と役割分担するのが実務的な解決策とされています。

どの制度が適しているかは、「今の目的が財産管理なのか、死後の承継なのか、本人の身の回りの保護なのか」によって変わります。複数の制度を組み合わせることも多いため、全体像を見渡せる専門家に相談するのが近道です。

よくある質問

Q. 認知症が始まってからでも家族信託はできますか?

A. 原則としてできません。家族信託は 本人に契約を理解する判断能力があること が前提です。すでに認知症が進んでいる場合は、家族信託ではなく成年後見制度の利用を検討することになります。だからこそ「元気なうちの準備」が重要とされています。

Q. 家族信託の費用はどのくらいかかりますか?

A. 一般的な目安として、専門家への報酬は信託財産評価額の1%前後(最低30万円程度〜)、これに公正証書作成費用や不動産の信託登記費用が加わります。財産額や内容によって大きく変わるため、複数の専門家に見積もりを取って比較することをおすすめします。

Q. 家族信託をすると相続税は安くなりますか?

A. 家族信託そのものに直接的な節税効果は基本的にないとされています。家族信託は「認知症対策・財産管理・円滑な承継」のための制度です。節税を目的とする場合は、生前贈与や生命保険など別の手段との比較検討が必要で、税理士への相談が欠かせません。

Q. 受託者(財産を託される子)に何か義務はありますか?

A. あります。受託者は信託財産を自分の財産と分けて管理する「分別管理義務」や、帳簿の作成、受益者への報告義務などを負います。家族間とはいえ責任は軽くないため、受託者になる人は事前に役割を十分に理解しておく必要があります。

Q. 誰に相談すればよいですか?

A. 家族信託に詳しい 司法書士・弁護士・税理士 が相談先になります。契約書作成や登記は司法書士、法的な紛争予防は弁護士、税務は税理士が専門です。制度が比較的新しいため、家族信託の実務経験が豊富かどうかを確認したうえで依頼すると安心です。

まとめ

家族信託とは「信頼できる家族に財産管理を託す契約」であり、認知症による資産凍結を防ぐ有力な手段 です。ただし節税策ではなく、受託者の負担や費用、家族の合意形成といった注意点もあります。まずは目的を整理し、判断能力があるうちに、家族信託に詳しい専門家へ相談することが、後悔しないための第一歩です。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法務・税務上の助言ではありません。制度の詳細や最新の税制・法令については、必ず司法書士・税理士・弁護士などの専門家および公的機関の一次情報をご確認ください。

最終確認日:2026年6月8日